配管老朽度調査の心の準備
初めての配管老朽度調査業務
配管老朽度調査の心の準備
(初めての配管老朽度調査業務)

株式会社 川ア
営業技術課 川ア知明


【はじめに】
建築物の中には様々設備機器が設置されており、殆どが配管によって接続され使用されています。
機器類は取替等に対応出来るよう設置されていますが、配管は普段隠れた場所に設置されており、 なかなか簡単には目につかずともすれば、配管存在自体を忘れてしまいそうになります。
そこで、ある日突然配管からの漏水事故が生じてから、配管の老朽化を知る場合も少なくないようです。
このような突然の事故が前触れ無く起きるよりも、事前の調査で配管設備の老朽度を大きく把握して計画的に事前修繕や対策を実施し、事故を未然に防ぐきっかけとなると共に、 設備全体の保全サポートをおこなうことが配管老朽度調査業務と言えると思います。
ここでは、周辺機器等の調査診断業務は省略して配管の老朽度調査のみのご案内です。

【心の準備】
配管調査を実施する必要性
●経過時間別配管腐食について
配管の腐食速度は一定(時間-腐食速度の関係)ではなく、配管の置かれた条件によって変わった腐食速度となります。
その上、それぞれの時期によって配管漏水事故等の発生率が変わることも考えなければなりません。
パート1:初期設置事故時期
パート2:偶発的事故時期
パート3:磨耗事故時期
これら3パートそれぞれの境目は対象配管や条件によって異なります。
感覚的には初期設置事故時期は使用年数5年から10年経過。偶発的事故時期は10年から15年経過。
磨耗事故時期は使用年数15年以上経過と言われています。
良好に事故なく使用されてきた物件においても使用年数が15年を超えると磨耗事故時期に入ったと仮定する事をお薦め致します。
但し、上記に使用年数について書きましたが、実際時間的経過だけでは目安の領域から離れられず実際の確認が必要です。
また配管は、材質・設置状況・使用条件・施工者技術・経過時間・異種材料接触状況等によって腐食速度はまちまちです。
同じ配管系でも流体速度や継手付近の流れ状況によって一気に配管肉厚が薄くなる場合もあります。
また白ガス管を給湯等で使用の場合、鉄と亜鉛の極性が逆転して配管腐食を促進します。
これらの状況がいつ何処で発生するかを感覚で把握しきることは困難な話です。
そこで、配管老朽度調査を実施してデータを集め現在使用中の配管状況を推定することでより現実に合わせた検討が可能となると考えます。
大規模の配管設備をもつ施設(プラントや様々な処理施設等)では計画的に様々な配管調査業務を行い各業務のチェック(検査)として実施されています。


配管調査を発注する為の心の準備
はじめて配管調査業務を実施するにあたり、事前に簡易診断大きく3つの設問に回答下さい。
簡易判断目安について、(主として目視確認)
(1)水の状態    
(水が出ない=10、水の出が悪い=2、異常無し=0)
(2)出水着色状態 
(常時赤水が出る=10、毎朝赤水が出る=5、休日開けに出る=1、異常無し=0)
(3)配管外観状態 
(保温材が直管部濡れ=3、保温材が曲部濡れ=1、異常無し=0)
上記の数字を下記の式に入れてください。
評価点=((1)+(2)+(3))×A     
電算室、研究室24時間運転施設の場合はA=1.2
電源室、書庫等二次被害が大きい場合はA=1.1
評価点が10点以上となる場合は、配管老朽度調査(計装器による調査)を実施期間に入ったと考えて下さい。
鉄の腐食に関する感覚的な話としまして、
一般に鉄を水に浸けたときの侵食率は目安として(内面腐食)
0.1mm/年と言われています。
条件のいい大気中放置の場合の目安は (外面腐食)
0.01〜0.03mm/年
配管内外面合わせてみると侵食率は
0.13mm/年と想定されます。
SGP50Aの配管の場合ネジ部肉厚から逆算すると 15年程度となります.


【配管調査業務の2つの方法】
現在の配管調査は大きく分けると スポット的配管調査 長期配管調査の2つが実施されています。
この区分けは調査にかける時間であり、継続的にデータを蓄えて判断するか否かです。
スポット的配管調査は、
建物がある程度老朽化したと建物管理者が感じた時に始めて短期間 (数日中に)配管調査を行うもので、その時点データのみで現状の配管状況を推定する考え方です。
この方法の基本は、新管公称肉厚値と現在使用配管の肉厚を測定し、 使用年数を基に使用中平均的に腐食進行していることを前提に年当りの最大侵食度を算出するものです。
推定残存寿命は、残りの配管肉厚を最大侵食度で逆算して推定の配管肉厚が無くなる時間を算出します。

長期的配管調査は、
建物設計時点より、使用材料や立地条件、使用状況などを加味して事前に改修計画をリストアップし管理表を作成し、 調査項目と調査日程を設定した日に(例えば5年毎などに)設定された項目を同一箇所で配管調査し、 そのデータを当初推定したグラフ等と比較して今後のメンテナンスの参考にするものです。
ここでは、基本的には推定残存寿命よりも実際測定した配管肉厚値の減少に主眼を置くようになります。
定期的にデータ変化を見て将来状況を推定するものです。
長期的配管調査は、当初調査点数が膨大な点数となりますが、管理時間が経過するほど、 管理建物特有の腐食劣化傾向が現れれば、劣化の激しいところに重点をおくことで 点数調整を実施すれば、調査コストを下げることも可能となります。
どちらの方法を採用するかは、発注者の考え方や管理物件の古さにもよります。
なるべくであれば、長期的な考え方で調査を実施する事をおすすめ致します。


【配管調査方法】
配管調査の見積については、事前にどの様な調査を実施するかを確認するため、現場事前調査が必要です。
現場事前調査には、
1)現場と図面の確認
2)本調査実施前の簡易調査
3)施設管理者へのヒアリング
がセットとなっており、この事前調査によりどのような調査が有効的かつ精度を上げるかを検討して見積作成となります。
上記の簡易調査は、配管材質の確認、配管掘削箇所確認、断水制限確認、 各種計装機器装着位置確認等が必要となります。特に流量測定等は測定誤差を極力消すために、直管長が必要となります。
スポット的配管調査においては、追跡調査ではないので、各種測定点を弱いところを効果的に (配管腐食の悪い箇所等)押さえていくかによって、測定結果が変わってきます。

【配管調査の良く実施されている項目】
調査項目として代表的な調査方法を並べます。
■配管サンプリング(断水を生じる)
継手を中心に配管を切断してサンプリングする。 サンプル配管は酸洗い等を実施して管内腐食状況を目視して状況を報告する。 ネジ部分はポイントマイクロメーターにて肉厚を測定。
■水質分析(水質検査)
朝1番の水を取り水質検査を実施する。 給水・給湯配管における吐出水の鉄イオン濃度差を測定する。 水質はその配管系の入口と出口を調べる。
■ファイバースコープ及びカメラ調査  (断水を生じる)【鋼管、銅管、ライニング鋼管、ステンレス管】
配管を切断し、機器類をばらして管内の状況を撮影する。 配管内の閉塞度を調査する(管内の錆こぶ付着状況を写真撮影にて確認)
■エックス線調査(非破壊調査: 断水を生じない)【鋼管、銅管、ライニング鋼管、ステンレス管】
エックス線を使用して基本的には継手を中心に撮影。 塩ビライニング鋼管等の調査には特に使用。 錆こぶの付着状況と侵食深さの推定を行う。
■渦流探傷器による調査 【銅管のみ】
  配管内面又は外面より残存肉厚を測定。測定部分は直管部で適応サイズは200A程度まで。
■超音波肉厚測定調査(非破壊調査:断水を生じない)【鋼管】
配管SGP等の直管部分の配管肉厚を測定するもの。配管の保温材を部分的に撤去して、 調査器プローブを直接配管表面に当てて配管肉厚を測定する。
■管路探査調査(断水を生じない) 特に埋設配管の場合、配管経路を確認して配管調査をスムーズに実施する為に、 地上より誘導電流を配管に乗せてその反応を見ながら埋設配管の位置を非破壊にて探査するもの。
■漏水調査(断水を生じない)
地上より漏水探知器や音聴棒にて事前に地中に漏水事故が発生していないか探査するもの。
■流量測定調査断水を生じない)
配管保温材と部分的に撤去して配管表面に流量計のプローブを当てて配管内の流体流量を測定するもの。
■水圧測定調査
チャート式圧力計を必要な箇所に設置して時間毎の圧力変動を測定するもの。
■ヒアリング
関係者に過去の事故や過去の修繕箇所の確認を実施してメクラ配管、埋め殺し配管等の情報などを入手する。
これ以外にも気になる項目には、特に別方法にて調査を実施。
例えば、埋設配管追加調査項目で土壌分析値、マクロセル腐食判断等を実施する場合もあります。


【判定に対する注意事項】
(1)診断方法の妥当性及び調査機器等の限界をはっきりしておく
(2)診断目的とその調査優先順位を事前に明確にする
(3)多目的に検討を進める(機器類相互関係を念頭に入れて検討)
(4)調査データは必ず定量化し定性化をおこなう

【次のステップへ】
配管老朽度調査が終わり報告書に要修繕項目が提出された時は、お医者さんと一緒で、診断した後は治療方針を決め完全治癒へ導くようなものです。 調査会社と発注者が共に改修要領を検討するまでが調査業務と考えます。

【最後に】
大きく一気に配管調査を実施するには、時間と費用がかさみます。
各調査会社で簡易配管老朽度調査として実施されている場合がありますので相談下さい。
超音波肉厚測定においては、推定残存寿命と言うよりは猶予限界寿命もしくは 使用限界寿命 を報告書に記載して今後のメンテナンス参考にして頂きたく思います。
簡易配管老朽度調査業務は基本的に1日作業で実施する範囲で考えるものです。
お気軽にお問い合わせ下さい。

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